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大岡越前5・第7話(最終回) [大岡越前]

「一口に罪といっても、犯す者の心根はひとそれぞれ。許されざる罪もあれば、心を入れ替え、もう一度 やり直すよう背中を押してやるべき罪もある。それぞれ見合うようにと思うものの、御定法じょうほうに染まぬ裁きをするわけにもゆかぬ」



「御定法というのは、いつ、誰が作ったのですか。御定法が父上のお裁きに合わないのなら、そっちを変えれば よいのではありませんか。だって、神様や仏様が決めたことではないのでしょう」



「いまある その者のまことの姿を、奉行がしかと見極めねば・・・。罪を憎んで、ひとを憎まず。許されることで立ち直り、そののちの生きる望みを得る者もありましょう。伊生いのう殿は忠実に法度にしたがっておられる。しかし、その一方で、疑わしきに過ぎぬ者を罪人と断じたり、また許されてしかるべき者を裁き、内心、忸怩じくじたる思いを抱かれたことはござらぬか。いまの法度に沿う限り、奉行は常にその危うさを飲み込んで白洲に向かわねばならぬ。果たして、本当にそれでよいものかどうか」



「法度改め、結構なことではないか。定法なくして、民を律することはできぬ。さりとて、定法に微塵の誤りがないとは言い切れぬ。世の移ろいにしたがい、法度も変わる。折々に見直し、手を入れることがあってしかるべき」


NHK BSプレミアム/2020年2月21日放送
【脚本】
いずみ玲
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