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二月の勝者 -絶対合格の教室-・第4話 [二月の勝者]

「ゴールデンウィーク特別講習は5日間で5万3000円。夏休み中の夏期講習は18万2000円。でもって、その期間中におこなわれる夏合宿。宿泊費、食費込みで10万5000円。冬休みには、冬期特別講習7万7000円。お正月特訓、4万5000円。そのほかにも 、日曜特訓、志望校別特訓、弱点克服特訓、直前特訓――。これらのオプション講習や、外部模試受験料、それに通常授業の月謝4万5000円を合わせると、締めて 年間 約132万円。これを中学受験にかかる お金って考えるか、子供の将来のためにかかる お金って考えるか、それは そのご家庭それぞれだけれども、少なくとも(お金を出させることに引け目を感じる)そんなイノセントな心の持ち主じゃ、塾講師は務まらないわよ」



「統合判テストの算数は8問あります。1問目は計算問題。いちばん正答率の高い、基礎中の基礎問題。問題が進むにつれて難易度が高くなります。4つ目の問題までで、大体、全体の半分です。その ちょうど真ん中の問題4――ここまで。あなたのクラスの生徒たちの試験は、この半分で おしまいです。後半は解く必要ありません。問題文を見る必要もありません。最初から半分、盛大にドブに捨てさせるだけですよ。どうせ2、3割しか点数の取れない連中は、後ろの半分を解く必要がない。いや、解く資格がないと言ってるんです」



「問題は小問を入れて25問あります。そこから自分のできる問題を見極めようとするだけで、時間だけが経ち、彼らには あせりの もとにもなる。あせるから、ケアレスミスが起きる。それなら、最初から半分しかやらなくていいと、問題をバッサリ取り除いて、同時にあせりも取り除いてやった。その結果、ミスが減ったんです。ただ、この方法は本番の受験では使えません。同じ配点では ないかもしれないし、最初がいちばん簡単で、最後がいちばん難しいとも限らない。今日、あえて こんなやり方をさせたのは、自信と得点欲を実感して欲しいからです、点数が取れた、偏差値が上がった、という事実。受験生にとって、どんなご褒美よりも、これにかなう喜びと原動力はありません」



「こんなの、たかがゲームじゃない。どうせなら、わたしたちの子供に課金してよ。自分の子供を、クソ強いキャラに育ててよ。勇人に、どんな敵でも、ラスボスでも倒せるような、クソ強い武器 持たせてよ」



「おっしゃる通り、中学受験は課金ゲームかもしれませんね。ゲームの達人でいらっしゃる お父様なら おわかりかと思いますが、敵を倒し 次に進むには、知識とコツ、テクニックが必要です。そして、なにより大切なのが、タイミングです。課金して、武器を持たせ、装具を整えるにも、タイミングを間違えたら、お金をドブに捨てることになります。勇人さんは いま自分の可能性に目覚めはじめています。ここは どうか お父様とお母様が稼いだ大切なお金を、勇人さんのために使ってみてはいかがでしょうか。わたしたちは、そのお気持ちに応えられるように、精いっぱい勇人さんをキャリーさせていただきます」



「子供は大人が思っている以上に子供で、思ってる以上に大人です」


日本テレビ/2021年11月6日放送
【脚本】
成瀬活雄/【原作】高瀬志帆
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