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舟を編む 〜私、辞書つくります〜・第4話 [舟を編む]

「辞書編集部として、わたしが果たすべき最大の役割は、先生と共に最高の辞書を作ることだと ひた走るあまり、もうひとつの大切な使命を失念しておりました。継承です。辞書編集部員をひとり育るには、辞書を一冊 作るのと同じ途方もない時間と手間がかかる」



「(俗用とは)本来の意味とは違う使われ方が広まり、そちらの意味のほうが一般的になった言葉の使われ方です。現代では『匠のこだわりの逸品』のように、良い意味での使われ方をすることが多いですが、本来『こだわり』とは『心が なにかに とらわれて、自由に考えることができない。気にしなくてもいいことを気にする。他人からの働きかけを拒む。難癖をつける』など、悪い意味を持つ言葉なんです。『大渡海だいとかい』では極力、誤用という言葉は使いたくないんです。ひとに使われることによって、形や役割を変えていく――。言葉というのは生き物ですから」



「(辞書に挿入する図版は、イラストより写真のほうがリアルに伝わると思われがちですが)そうとも限らないんです。そのものの特徴的な部分を誇張していていただくことによって、より実物に近いイメージが伝わりやすくなることが多々あります。それに、カッパの写真を撮るのは至難の業ですし、恐竜は全部 骨の写真になってしまいます」



「(亡くなった)お父様は こだわりを持たないことに、こだわられていたんではないでしょうか。辞書の図版は こだわりの強い方には お願いできません。われわれが求めているのは作家性より、そのものの本質を的確にける技術です。図版は辞書が改訂されても、その見出し語がなくならない限り、使われ続けることが ほとんどです。時代に合わせて修正することもありますが、そのときは(後継者の)あなたがいますので安心です。あなたと お父様の こだわりのない合作は、この先もずっと辞書の中に残り続けます」


NHK BS/2024年3月10日放送
【脚本】
蛭田直美/【原作】三浦しをん
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