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さよならマエストロ ~父と私のアパッシオナート~・第10話(最終回) [さよならマエストロ]

「たまたまなんだよ、マエストロが晴見フィル 来たの。もし現役だったら、あのひとがオレらのオケで振るなんて あり得ねえんだよ。世界で活躍できるひとなんだよ。それ いいのかよ・・・草野球チームが大谷翔平 囲っちまって」



「わたしたちとだって、おもしろいことできると思います。だって、マエストロが教えてくれたから・・・音楽は上手なひとたちだけのものじゃないって」



「もらったものが多すぎて・・・。ぼくらに返せることがあるとしたら、夏目さんの背中を押すことぐらいじゃないのかな」



「どこで 誰と過ごすのが、父にとって幸せかなんて、家族であっても、ひとが決めることじゃない――そういうふうに納得しようとしました。でも、ダメなんです。だって、父は天才でも、完成品でもないから。指揮者の世界じゃ、父なんて まだまだ若手の ひよっこです。これからの ひとなんです。これからだったのに、わたしが時間を止めてしまったんです。あのひと、5年も休んでたせいで、まだちょっと寝ぼけてるんです。これ以上、のんびりさせたくない。落ち着かせたくない。叩き起こしたい。父にとって、あこがれの先生に刺激をもらって、新しい自分を引き出されて、あこがれのオーケストラと音を奏でる時間は、とても難しくて、わくわくするような挑戦になると思います。きっと それは、狼の口に飛び込むような挑戦になると思うんです。思いっきり飛び込んで欲しい。だって、指揮者はパパの人生そのものだから」



「晴れてるほう 眺めりゃ、そこは いつも いい天気ってことですよ」


TBS/2024年3月17日放送
【脚本】
大島里美
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