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ラジオ [単発]

「黙ることも言葉だ」



「少し前までは『上を向いて歩こう』を歌いながら、泣いてくれたじゃないですか。絆とか、日本はひとつとかって、叫んでくれた。それ、本当ありがたかったです。でも、あれですか。被災地は映画館なんですかね。感情移入はするけど、(瓦礫を受け入れて)関わり合いになるのはイヤなんですかね」



「父のおさがりでもらった大切な青いドラムは、ドラムと呼べる形ではなかった。漁師の祖父が建てた立派な我が家は、いまじゃ さら地。祖母の嫁入りの際に持ってきた着物は、海でワカメのように漂う。若かりしころの母の写真から、海のにおい・・・。全部、瓦礫って言うんだって。全部、瓦礫って言われるんだって」



「瓦礫の受け入れ反対って、テレビで観たんだ。きのうまでの宝物。今日は汚染物と罵られる」



「あたしが本当に受け入れてほしかったものは、瓦礫じゃなかったのかもしれないと、ふと思う。少なくとも、受け入れてほしかったその “もの” には、放射能なんて ついていない。心の奥にある、清らかな、優しいもののはずだった」



「体に生えた足で立つことはできても、心の二本足はまだ寝たまま。ここで立たなかったら、震災を言い訳に一生 自分の足で立ち上がろうとしないだろう」


NHK/2013年3月26日放送
【脚本】
一色伸幸/【原作】某ちゃん。
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