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セイレーンの懺悔・第2話 [セイレーンの懺悔]

「(女子高生を自殺に追い込んでおいて)まだ取材する元気があるのか。(事件は終わっていない?)それなら、終わってから報道しろ。誰が殺された。誰かが逮捕された。事件を伝えるなら、それで充分だろ」



「サイレンだろ。ひとに注意を促すために大きな音を出す。(番組を)観てもらうために、派手な演出をして視聴者を煽る。(犯罪抑止のための問題提起をしている?) なあ、思い上がるなよ。サイレンには、聞きたくないことでも強制的に聞こえてしまうリスクがある。それが今度のような事態を招いた。サイレンの語源を知ってるか。ギリシア神話に出てくるセイレーンという妖精だ。上半身が人間の女。下半身が鳥。海にいて、きれいな歌声で船員たちを惑わし、船を遭難させる――。あんたたちマスコミは、そのセイレーンだよ。視聴者を耳障りのいい言葉で誘って、真実と名づけた娯楽の中に引きずり込む」



「いま おまえが感じてる思いに、慣れるなよ。相手の苦しみを理解して、できる限りの配慮をしながら取材するのが報道記者だ。だが、記者ならまた、相手が苦しむと わかっていても、報道しなければならないときが必ずある。いまの気持ちを絶対に忘れるな」



「犯人が捕まっても、娘は帰ってきません。こんな悲劇が二度と起きないように、一日も早い解決を望みます――。そう言っておけば、マスコミは満足しますから。なにもしゃべらずに逃げていても、ずっと追いかけられるだけです」


WOWOW/2020年10月25日放送
【脚本】
篠﨑絵里子/【原作】中山七里
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