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アンチヒーロー・第3話 [アンチヒーロー]

「根拠をもって証明できない限り、それは きみの たわ言でしかないんだ。松永さんが有罪となったのは、日本の司法のせいでも、事務所でも、裁判所でも、ましてや富田議員のせいでもない。弁護人だった きみの責任だよ。裁判の結果こそが、依頼人の人生を左右する。だからこそ、われわれ弁護士は己の人生をかけて裁判に勝たなければならないんだ。きみには、その覚悟と力が なかっただけだ。松永さんは きみのせいで罪を背負うこととなった。それを きみが いくら後悔したところで、彼が犯罪者となった事実は消えることはないんだ」



「富田正一郎しょういちろうという特定の人間に執着し、その個人への恨みから、検察が描いたアナザーストーリーを鵜呑みにし、客観的事実を見落とし、その人間を有罪にもっていこうとする――。きみがやっていることは、犯罪者と なにも変わらないんだよ。いや むしろ、下手に法律に詳しい分、余計にタチが悪い。強い思い込み、中途半端な正義感が、ひとの判断を狂わせる。冤罪を生むのは、そういう人間だぞ」


TBS/2024年4月28日放送
【脚本】
李正美福田哲平山本奈奈宮本勇人
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アンチヒーロー・第2話 [アンチヒーロー]

「検察官というのは、自分たちにとって都合のいいストーリーを作り上げる生き物だからね。たとえばだ、上層部から大きな期待をかけられている優秀な検事が、ある殺人事件の担当となった。被疑者は犯人で間違いない。上層部も100パーセント有罪だと思っている。だが、実際に集まっているのは状況証拠ばかり。決め手となる証拠は いまだに つかめていない。(中略) 優秀な検察官であるからこそ、注目を浴び、上司からの期待も大きい。この事件に負けてしまったら、いままで積み上げてきた実績に傷がついてしまう――。そう思い込み、自分に こう言い聞かせる。あいつは必ずやっている。正義のために、なんとしてでも有罪にならなければいけない。そうだ、被害者の体・・・たとえば爪の間からDNAが検出されたとしたら、それは かなり有効な証拠となる――。そうして、改めてDNA鑑定に出せと、警察に指示を飛ばす。と同時に、深い 深い つながりのある教授に連絡をし、鑑定結果の改竄を依頼した」



「あなたが大変 優秀な方であるということは よくわかります。ですが、教授は絶対にあなたのことを認めないでしょうね。優秀な あなたを自分の下に置いて、都合よく利用し続けたいからです。ま、そんな上司に限って『おまえのためを思ってやってんだ』とか、言うんでしょうけどね」



「権力は求めはじめたら、後戻りできないんだろうね。相応の覚悟が必要なんだろうけど、姫野くんはちょっと足りなかったのかな。組織っていうのは、怖ろしいよね。『検察は正義じゃなきゃならない。なにがなんでも有罪にしろ』――そんなこと、一度も言ったことないんだけどね。ぼく、そんなに怖いかな」



「目の前で、ナイフを持った男に大切な家族が殺されそうになっている。こっちは、その男を殺せるナイフを持っている。赤峰くんなら どうする? 家族を守るために、その男を殺すか? (中略) 大事なひとを守るために、やむを得ずひとを殺した者。殺意を持ってひとを殺そうとしたが できなかった者。罪が重いのは どっちだろうね。正義とは何なんだろうね」


TBS/2024年4月21日放送
【脚本】
宮本勇人李正美福田哲平山本奈奈
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アンチヒーロー・第1話 [アンチヒーロー]

「殺人犯として生きるということは、どういうことだと思いますか。『人殺し』『生きる価値なし』『人間のクズ』『死んで償え』――有罪が確定した瞬間、こんな言葉があなたに浴びせられます。見ず知らずの他人が、何千、何万というナイフで、あなたの心を平然と刺していくんです。その矛先は、あなただけではありません。家族、恋人、友人、同僚・・・あなたの人生にかかわったすべてのひとが『殺人犯の何々』という称号を強制的に与えられるんです。罪のない人間が犯罪者と同じ扱いをされるんです。むしろ殺人犯として牢屋で過ごすより悲惨かもしれませんね」



「あなたが真摯に罪と向き合い、更生したと判断されれば、刑を終えることはできます・・・法律上は。でも、それは あなたが罪から解放されたわけではありません。過ちを犯しても やり直せる。日本はそんな優しい国――とでもお思いですか。(中略) 法律というルールの中では許されても、リアルな世界では、一度 罪を犯した人間を許す気なんかないんです。どんなに心を入れ替えたとしても、出所した先に自分の居場所なんかないんです。幸せになんか なれるわけないんです。やがて絶望し、もう一度 ひとを殺すか、自ら命を絶つか、待っているのは そんな未来だけです。殺人犯になった時点で、あなたの人生は終わります。仕方ないですよ。だって・・・ひとを殺してるんですから」



「ハリネズミだよ。検察は今回 決定的な証拠をつかめていない。だからこそ、防犯カメラ、指紋、目撃証言、DNA――様々な証拠をかけ合わせて、なんとしてでも有罪にもっていこうとする。それは 自ら ひとつひとつの証拠がとても弱いと自白しているようなものだ。ハリネズミだって、何千もの針がなければ ただのネズミだ。1本の針じゃ弱いから、複数の針で戦ってこようとするんだ」



「弁護士は、被告人である依頼人の正当な利益を守る保護者だ。たとえ どんなに残虐な犯人だとしても、有罪判決が下されるまでは無罪として扱われ、保護されるべきである。この時点で(被告人の)緋山ひやまさんを犯人だと決めつけるような弁護士は、いますぐ辞めたほうがいい」



「証拠を用意して、有罪を立証するのが検察の仕事――。だとしたら、われわれ弁護士は その検察が出してくる証拠を ただ握りつぶせばいいんだ」


TBS/2024年4月14日放送
【脚本】
山本奈奈宮本勇人李正美福田哲平
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