幸運なひと [単発]
「(治療するかどうかは、患者本人が決めることだなんて)そういうの、正しいかもしれないけど、優しくないです。(中略) わたしたち、がんのことなんて、お医者さんほど わからないんですよ。何人もの がん患者を診てきたプロとして、どう思うのか教えて欲しいんです。患者の自主性(を尊重する)なんて、逃げないで下さい」
「一度、患者さんの会に行かれてみてはどうでしょう。すいません(そんなことしか言えなくて)。わたしは医療のプロですが、患者のプロではないので」
「自立っていうのは、迷惑かけられるひとを何人か見つけるところから始まるんですよ」
「(つわりで苦しい)いまこの瞬間だけは、誰がなんと言おうと、拓哉より わたしが『家庭内しんどい選手権』勝てる自信あるわ」
「この社会で たくさんの他人と生きていて、わがままをぶつけられるひとには、そうそう出会えません。出会えたらラッキーです。だから、もし そんなひとと出会えたら、勇気をもってエゴをぶつけ合ってみてください」
「先生は長く生きられないと知って、娘を授かりました。将来『無責任だ』『迷惑だ』と言われても、『おとうさんが、どうしても会いたかったから』『ぷっくぷくの脚が可愛くてね、ずっと さわっていたいから』『おかあさんのピアノを聴かせたかったから』としか答えられません。もし将来、みんなが彼女に出会うことがあったら、『おとうさんは めちゃくちゃ幸運なひとだった』と教えてやってください」
NHK BSプレミアム/2023年3月6日放送
【脚本】吉澤智子
女神の教室 ~リーガル青春白書~・第9話 [女神の教室]
「いまここに警察が踏み込んできて、5年前に起きた ある殺人事件の容疑者として、あなたを逮捕したらどうする? どうやって無実を証明する? その日、どこで なにをしていたかを説明して、その証拠を用意できるかな。やっていないことを、やっていないと、ひとに認めさせることは、とても難しい。だから『疑わしきは被告人の利益に』――この原則が必要なの。冤罪は絶対にあってはならない人権侵害だから」
「真犯人を見つけ出すのは捜査機関のすること。刑事裁判の目的は冤罪の防止。つまり、自分がやっていないにもかかわらず、やったとされることを防ぎ、もし やっていた場合にも、やったこと以上の責任を負わされることが ないようにすることなの。裁判官だって人間。決して全能じゃない。『自分は正しい』――そういう思い込みが、冤罪を生んでいるの。だから、裁判には検事がいて、弁護士がいて、裁判官がいる。それぞれが役割を全うし、それぞれを信じて力を合わせる。そうすることで、ようやく真実に近づける――」
「励ますだけなら、家族でも、友達でもできる。弁護士が寄り添うっていうのはね、一緒に戦うことなの」
フジテレビ/2023年3月6日放送
【脚本】神田優/【脚本協力】伊吹一