珈琲いかがでしょう・第８話（最終回） [珈琲いかがでしょう]
「淡々とオシャレな暴力？ ねえよ、そんなの。骨が折れるときの、低くて鈍い音。変にあったかくてヌルつく、ひとの血の匂い。肉が破ける感触。そういうの、全部しんどくて、たまんなくて、ここんとこ（心）殺さなきゃ、やってらんなかったよ、あんなこと」
「ぼくは ひとから愛される才能がないんだ。ぼくのために、毒入りコーヒーを飲んでくれるやつなんか、ひとりもいない。なら、権力と暴力で塗り固めるしか、ぼくには・・・」
「オレもさ、ひとに言えるような明るい生い立ちじゃねえけどさ。まあ、不幸に飲まれんのって、しゃくだろ。だから、隙を見て、なんでも腹 抱えて笑ってやんの。こんな世界、ポップにしてやったぞってな」
テレビ東京／2021年5月24日放送
【脚本】荻上直子／【原作】コナリミサト
珈琲いかがでしょう・第７話 [珈琲いかがでしょう]
「ぼくを なめるやつ、ぼくを裏切るやつは、制裁の制裁の制裁――。モグラたたき みたく、ぶっつぶして、暴力を暴力の暴力で、真っ黒に上塗りしてやる。でも、ダメなんだ。どんなに ひょうひょうとしてるように演出しても、内心ビクビクさ。むかしの おまえが お手本なんだ。あんなふうに、淡々とオシャレな温度で、暴力を振るいたいんだ。だから、とらモン、アルバイト続行だよ。ぼくに あのオシャレな暴力を教えてよ」
テレビ東京／2021年5月17日放送
【脚本】荻上直子／【原作】コナリミサト
珈琲いかがでしょう・第６話 [珈琲いかがでしょう]
「毎日、なにを食べたか気にしてみろってこと。それが おいしかったのか。おいしくなかったのなら、なにがダメだったのか。料理の中に なにが入ってたのか。作り方はどうだったのか。ただ食べて、空腹を満たすだけじゃなく、味を感じる。（中略） 心に余裕がないと、味は感じられないからね。そして、そのごはんが とっても おいしいと感じたのなら、そんときは１ミリでいいから幸せかどうか考えてみな」
「できっこないって思ってるうちは、そりゃムリだよ。だけど、ちょっとした加減で変わってくるもんだよ・・・コーヒーの味も、人間も」
テレビ東京／2021年5月10日放送
【脚本】荻上直子／【原作】コナリミサト
珈琲いかがでしょう・第４話 [珈琲いかがでしょう]
「（わたしの珈琲教室に来てくれるなら）あなたたちに お願いがあります。ちゃんとコーヒーを味わってください。鼻腔をくすぐって、のどを通過して、胃に納まるまでのヒストリーを感じてください。なによ、こんな雑誌（に載ったくらいで）。ふわっとして、オシャレなイメージばっかり先行して・・・。あたしなんて、コーヒーが好きなだたの、いちババアなのよ。ちゃんと見て。アプリで加工して、シワを飛ばして、ふわっとした写真に仕立てないで欲しいわ。お願い・・・甘噛みして、生活を彩らないで。勝手なイメージで、アクセサリーに仕立てないで。コーヒーを箔づけに使わないで」
テレビ東京／2021年4月26日放送
【脚本】荻上直子／【原作】コナリミサト
珈琲いかがでしょう・第３話 [珈琲いかがでしょう]
「なにかを きわめるって、大変なことよね。本当に好きじゃないとできないし、好きなだけでもダメだしね」
「したり顔で擁護して、独りで勝手に気持ちよくなるのに わたしを使うのはいいけど、わたしの まわりの ひとたちを おかずにするのだけは やめてくれる？」
テレビ東京／2021年4月19日放送
【脚本】荻上直子／【原作】コナリミサト
珈琲いかがでしょう・第２話 [珈琲いかがでしょう]
「面白いくらい全部パクリだね。全部どこかで見たことあるデザインばっかり。若いころって、無意識に、見たもの、聞いたものが、自分の中から出てきたって思っちゃうから、仕方ないけどね」
「たった一日しか いなかったくせに、思い知ったよ。東京ってさ、キラキラで、フワフワで、ピカピカで、チカチカで・・・ギタギタで、ペラペラで、ドロドロ。根っこが ちゃんとしてないとダメなんだ・・・青山さんのコーヒーみたいに。なんかしらに なりたいなら、なんかを ちゃんとしなきゃダメなんだよ。じゃないと、あたし、夢見る 痛い イモっ子のままだ」
「あのくらいの年の子って、街を歩くと、回転寿司のネタみたいに、品定めされるのね。だから、みんな精一杯、ウニや大トロのフリするの。でも、あの子はピッと背筋を伸ばして、はじめからウニで大トロだった・・・選ばれし女の子だから」
「（若いころはスポンジみたいに吸収できるから、絵でも、本でも、映画でも、音楽でも、良作にたくさん触れたほうがいい――）そんな常套句を鵜呑みにして、美術館 行きまくって、映画 観まくって、本 読みまくって、かぶれに かぶれたね。（でも、）頭のいい子はちゃんと知ってるんだよね。どんなに吸収した気になっても、うまいこと外に絞り出せなくちゃ、なんの意味もない。あたしは じゃぶじゃぶ のスポンジ・・・」
「そこ（ネットの中）には、わたしの ぶちまけたい ねたみや そねみ、ひがみが転がっていて、すっごい気持ちよかった。生ぬるくて、ずぶずぶ浸ると、すっごい気持ちよかった。（でも、）吐き出した誹謗中傷は自分の中に沈殿してて、全部、跳ね返ってきた」
テレビ東京／2021年4月12日放送
【脚本】荻上直子／【原作】コナリミサト
珈琲いかがでしょう・第１話 [珈琲いかがでしょう]
「（自販機のコーヒーは）どれもこれも適当にうまい。頑張って特別になろうとするのって、かえって見苦しいです、適当に、適当に、要領よくやりましょうよ」
「全員に通じるものって、案外、つまらないのかもしれないなって（思います）。誰かにとっての特別であれば、それがいいです」
テレビ東京／2021年4月5日放送
【脚本】荻上直子／【原作】コナリミサト
