探偵ロマンス・第4話(最終回) [探偵ロマンス]
「あんたを独りぼっちにしてんのが仲間かい?」
「誰かの望み通りに生きるなんて、オレはできねえ」
「他人の人生を塗りつぶすやつは嫌いだ」
「あんたのどこが『探偵の好敵手』なんだ。顔を隠して、そうやって世界を斜めから見て笑っていたら、傷つくことはありませんもんね。他者の物語なんて、いくらでも操れると悦に入ってるんでしょ」
「誰かに求められていないと、生きてると実感できないんだな。それなら、操られているのは、あんたのほうじゃないか。自分が無いから、他人の生きる様を借りないと生きられない。あんた、空っぽの寂しいひとだ」
「なにを美しいと思うかに、その人間の生きるさまが表れるというのなら、なにに怒りを感じるのかに、その人間の本質が表れると、ぼくは思います」
「自分の物語はわかってもらいたくてたまらないくせに、他者の物語はわかろうとしない。そんなんじゃ、名探偵の真実には たどり着けない。名探偵ってのは、困っているひとがいたら手を差し伸べる。一人ひとりの苦労に寄り添いながら助ける。どれだけ頑張っても救いきれないかもしれない・・・それでも、たったひとりにしかない物語を守るために。そんな生き方、カッコいいじゃないか」
NHK/2023年2月11日放送
【脚本】坪田文
探偵ロマンス・第1話 [探偵ロマンス]
「なにを美しいと思うか――。世界を見つめるまなざしに、その人間の生きるさまが見えると、ぼくは思ってるんですよ」
「いやだなあ、その物言い。年上の人間特有の、ものを知らない若造には この深みが わかんないだろうっていう その目線」
「自分より恵まれた人間は疎ましい――。そういった泥みたいな気持ちが、整った身なりを剥いだら、人間の中には隠れてる」
「夢っていうのは毒なんだ。追いかけているつもりが、いつか自分のほうが追いかけられてる。苦しくなる」
「ひとは、結局、わかり合えないものなのだと思います。しかし、だからこそ お互いに手を伸ばし合うのだと思います」
「たとえ闇の中、なにが つかめるかも わからなくても、誰かに触れられることで わかるのは、結局、自分の形なのだと思います」
NHK/2023年1月21日放送
【脚本】坪田文