グレースの履歴・第８話（最終回） [グレースの履歴]
「あのひとは自分から孤独を求めたことなんて一度もない。いつも まわりの人間が一方的に あのひとを捨てて、孤独にしてきたんです。（中略） あのひとは それを黙って受け入れてきた・・・」
「『人生は決して振り向いてはいけない』というのが、そのひとの座右の銘でね。強い人間の論理だな。われわれ凡人は、ときどき足を止めて振り返ってみないとね。大事な思い出にカビが生えちまう」
NHK BSプレミアム／2023年5月7日放送
【脚本】源孝志／【原作】源孝志
グレースの履歴・第７話 [グレースの履歴]
「ひとには誰でも、許せることと、許せないことがある。多くの場合、その境界線は感情的に引かれる。単純にイヤなものはイヤなのだ。感情にとらわれないで、許せないことを許すには、想像以上の精神的苦痛が伴う」
NHK BSプレミアム／2023年4月30日放送
【脚本】源孝志／【原作】源孝志
グレースの履歴・第６話 [グレースの履歴]
「わたしと由起夫さんは、よく似てる。同じ役目を持ってるの。（あのひとみたいな）受け身の人間は、悪気なく受け身だから、それを なんとかしてあげるのが、わたしたちの役割」
NHK BSプレミアム／2023年4月23日放送
【脚本】源孝志／【原作】源孝志
グレースの履歴・第５話 [グレースの履歴]
「店主の名前を店名にしている店は、必ず自信や こだわりを持っている。（中略） しかも、それが ひらがな表記の場合、ほぼ間違いなくアタリです。『蕎麦』という漢字が、見た目 画数が多いでしょ。あの『蕎麦』の字にシンプルな ひらがなの屋号をあわせる店主は、なんていうか、センスがいいんです」
「おふくろに言わせると、学生時代の旅は お気楽すぎて、役に立たないそうです。世間のしょっぱさを知った上で旅をしないと、物事の本質が理解できないって。大人は なんとなく旅に出ちゃいけない。どんなことでもいいから、旅に出る理由が必要だとも言ってましてね」
NHK BSプレミアム／2023年4月16日放送
【脚本】源孝志／【原作】源孝志
グレースの履歴・第４話 [グレースの履歴]
「うまい料理ってのは、人間の気持ちを奮い立たせたり、修復したりする。人間の体ってのは、そういうふうに できてる」
「S800は1966年から４年半の間に埼玉の工場で作られたんだが、この子は生産初期に作られた個体だな。（当時の販売価格は）ズバリ、65万円。ライバルのロータスの５分の１、ポルシェの７分の１の値段だ。大卒サラリーマンの初任給が２万5000円の時代に、頑張れば若者でも手が届く日本製のスポーツカーを作るのが、オヤジ（本田宗一郎）の夢だったからな」
「（理系っぽいっていうのは）見た目じゃなくて、思考法の問題だよ。事実を正確に認識し、どうして そうなるか道筋を立てて、辛抱強く答えを導き出す人間のことだ」
「オレが（ホンダに）入社したころは、そば屋のあんちゃんが出前で走り回るような小型バイクが売り物の二輪メーカーだったんだけどね。その裏で、世界中のバイクレースにどんどん参加するような、面白い会社だったんだよ。だからさ、本気で四輪業界に殴り込みかけるなんざ、思ってもみなかったからね、腰抜かした。（中略） 安くて壊れない軽トラックを世に出す一方で、世界中があっと驚くようなカッコいいスポーツカーを同時に作る。S800はオレたちの夢の結晶だ」
NHK BSプレミアム／2023年4月9日放送
【脚本】源孝志／【原作】源孝志
グレースの履歴・第３話 [グレースの履歴]
「あいつは、ああ見えて、ひと一倍 感情の量が多い」
「知らない土地の夕暮れって、寂しいよね。（中略） ぽつぽつ 民家に明かりが灯って、みんな 帰るべき わが家へ帰ってく。旅人は よそ者だから、帰るべき家がない寂しさに耐えなきゃならない。あのころは その寂しさが嫌いじゃなかった。どこへでも行ける自由と引き換えに、与えられた孤独だから」
NHK BSプレミアム／2023年4月2日放送
【脚本】源孝志／【原作】源孝志
