らんまん・第63話 [らんまん]
「万太郎さんは草花を よくよく見える目を お持ちなんです。だから、とことん見てあげたら? 誰にも気づかれてないけど、そこにいる子、生きている子・・・その子たちを、万太郎さんだけが気づいてあげて、見てあげるの」
「いまが この国の『植物学』いう山の入口やったら、波多野さんや藤丸さんも、みんなで山に取りかかっていくがですろ? それやったら、全員が同じ山道を登ったち、仕方ない。それぞれが それぞれの道を歩くことで、山全体が早う見渡せるかもしれませんき」
NHK/2023年6月28日放送
【脚本】長田育恵
らんまん・第56話 [らんまん]
「花が日差しを待つように、水を欲しがるように、わしという命には あなたが必要ながです。あなたが わしの・・・わしの そばにおってくれたら、わしは どんなことでも成し遂げられる。わしと生きてください」
「わたし、冒険に出たかったんです。(中略) あなたは草花の道をひたすら突き進んでいく、全速力で。そんな あなたと並んで走るなんて、大冒険です。あなたとなら、毎日、今日を生きるだけで、ひたすら大冒険なんです。わたし、あなたが好きなんです。だから、わたし、性根を据えなきゃ・・・あなたと一緒に大冒険をはじめるんだから」
「馬琴先生の『八犬伝』は全98巻、106冊です。先生は目が見えなくなられたあとも、最後は口伝えで完結させたんです。だからこそ『八犬伝』は傑作なんです。(中略) たとえ作者が亡くなったとしても、完結した物語は消えないんです。本を閉じていても輝いているし、心から心に渡されていくんです。100年経っても消えやしない。(中略) でも、完結してなきゃダメなんです。(未完の傑作なんて)ダメです。完結して、全部がそこにあるからこそ、ひとは読みたいと思うんです」
「(ぼくも馬琴は)大好きだよ。子供のころ、いつまでも蔵の中で読んでた。あの面白さは忘れられない。でも、(中略) 愛着があるからこそ、引きはがして捨て去らなきゃ。見てな、これから新しい作家たちがどんどん出てくる・・・馬琴を葬り去るために」
NHK/2023年6月19日放送
【脚本】長田育恵
らんまん・第55話 [らんまん]
「父が西洋に馴染もうとしたのは、よその国に出て行くためではありません。わかり合うためです」
「男と女が対等と おっしゃるけれど、あなたは すぐそばにいる女さえ、目に入っていない。この国の行く末を描くのに、女の考えは聞こうともしない。どうそ、お好きなだけ お仲間と踊ってらしたら?」
NHK/2023年6月16日放送
【脚本】長田育恵
らんまん・第54話 [らんまん]
「槙野くんは頭の中で植物をしっかり つかんでいる。だからこそ、(絵にするとき)拡大したり、別の角度から見てみたり、自由自在なんです。画家の絵じゃありません。これは植物学者の絵です」
NHK/2023年6月15日放送
【脚本】長田育恵
らんまん・第53話 [らんまん]
「あんな集中力をもってしたら、一生のうちに どれだけの仕事ができるんだろうって。(中略) 万さん見てたら、人生ってぼくが思ってるより ずっと濃くて・・・。たくさんのものが入る器なんだなって思えて。その器をパンパンにしていくことが、生きるってことなのかなって。(なんでも入れられる器なのに、ぼくたちはスカスカで)それが怖くて。もし生き切れないまま死んじゃったら・・・」
NHK/2023年6月14日放送
【脚本】長田育恵
らんまん・第50話 [らんまん]
「かつて腕を競うた、技を誇った方々が、その場所から散っていったとしても、それは消えたがじゃない。新たな場所に根づいて、そして芽吹いていくがじゃと思います。磨き抜かれたモンは、決して無うならん。新しい場所に合うた形で変化し、もっと強うなって生き抜いていく。それが、生きちゅうモンらの理ですき」
「これは優れた絵じゃない。 “そのもの” を描きたいんだろう。本物を伝えるための手立てとしての絵だ」
NHK/2023年6月9日放送
【脚本】長田育恵
らんまん・第49話 [らんまん]
「幸せだけを数えて、のんきに暮らしていればいい。そうでないと、ミジメで たまらなくなるからね。誰かを待つことを暮らしの真ん中に置いちまうと、なにをしてても寂しさで いっぱいに なっちまう。まるで自分が値打ちのない、捨てられた気分になるからね。そうなれば、いざ旦那様が いらしたときに責めちまう。ツラさで、なじりたくなる」
「いいかい、(中略) 男のひとのために あんたが いるんじゃないの。あんたは あんた自身のために、ここにいるの。だから、いつだって自分の機嫌は自分でとること」
「思い描くことができたら、あとは実現するだけです。道が見えちゅうなら、歩いたらえい」
NHK/2023年6月8日放送
【脚本】長田育恵
らんまん・第48話 [らんまん]
「前に進みたいがは わかります。けんど、張り詰めちょったら、速う 走ることら できません。健やかに、楽しゅう 笑いゆうほうが、よっぽど速う 遠くまで行ける。(中略) 若のええとこは、ニコニコしゆう ところです。若が笑うたら、みんな笑顔になる。誰のことも幸せにできる。ほんじゃき、ちゃんと寝て、食べて、ピカピカ笑うちょってください。それが、若の全速力ですき」
NHK/2023年6月7日放送
【脚本】長田育恵
らんまん・第45話 [らんまん]
「誰かを好きになって、きれいなままで いようだなんて、ちゃんちゃら おかしいんだよ。自分の丸ごと全部で、そのひとのこと好きなんだからさ」
「わしは全力で走ります。できるだけの速さで、真っすぐ走って、お嬢様を迎えに来ます。間に合わんかったら、ご縁がなかったもんと、きっぱり あきらめます」
NHK/2023年6月2日放送
【脚本】長田育恵
らんまん・第37話 [らんまん]
「仲間に入れてもらえないのかい? そりゃそうだよ、よそから来る人間は怖いよ。ましてや、(万さんは)玄関じゃなく、いきなり縁側から上がり込んだみたいなもんだろ。泥棒なのか、お隣さんなのか、福の神かも わかんないしね。(中略) わからないものは気味悪いよ」
NHK/2023年5月23日放送
【脚本】長田育恵
らんまん・第30話 [らんまん]
「植物は どこにでもあると思うでしょ。けんど、会えるがは一期一会です。植物には足がないき。一度 根づいたら、そこで咲いて、枯れます。ほんじゃき、その草花に会いたかったら、こちらから出向かんといかん。出向いても、必ず会えるわけじゃない。お日さんや風の具合で、咲かんこともある。ありふれた草花でも、おんなじモンは ふたつとない。わしにとっては(中略) こうして出会えたことが、もう奇跡ながです」
NHK/2023年5月12日放送
【脚本】長田育恵
らんまん・第29話 [らんまん]
「雑草いう草は ないき。必ず名がある。天から与えられ、持って生まれた唯一無二の名があるはずじゃ。その名をまだ見つかってない草花なら、わしが名づける。(中略) わしは信じちゅうき。どの草花にも、必ず そこで生きる理由がある。この世に咲く意味がある・・・必ず」
NHK/2023年5月11日放送
【脚本】長田育恵
らんまん・第28話 [らんまん]
「その標本は千金の値打ちがある。けんど、いま その値打ちを知っちゅうがは、この世に ただひとり、わしだけじゃ。しかも、わしが これから世に出ていって、自分で値打ちを明かさんといかん。残念ながら、いまは その標本に金を出すがは、わしだけじゃ。いますぐ金に換えたいがやったら、おとなしゅう返せ」
NHK/2023年5月10日放送
【脚本】長田育恵
らんまん・第23話 [らんまん]
「恋は終わりました。恋とも呼べん、ただの夢でした。その夢は、わたしが新しい酒を造って、『峰乃月』と共に、大勢のひとに飲んでもらう。そうして、峰屋をもっと大きゅうする――そういう夢です。わたしの恋は、男のひとにあったがじゃない。峰屋と酒造りにありました。ただ一緒に歩んでくれる相手が欲しかった」
「ワガママながは かまわん。けんど、ひとの思いを踏みにじるがだけは いかん」
NHK/2023年5月3日放送
【脚本】長田育恵
らんまん・第22話 [らんまん]
「牢に戻るか? おまんが政治の土俵で生きちゅうがなら、命を取られても、曲げられんもんがあるじゃろう。けんど、そうではないなら、メソメソしゆうがは、お門違いじゃ。おまんは捨てたがじゃ。ほんなら、振り返りな。代わりに、なにをするかじゃろ? ひとはすべてを持つことらできん。なにかを選ぶことは、なにかを捨てることじゃ」
NHK/2023年5月2日放送
【脚本】長田育恵
らんまん・第21話 [らんまん]
「みなさんの足元に生えちゅう草花――。実は その草花は、みんな いちばん優れちゅうモンらながじゃ。踏んづけられたら、そのときこそが変化の機会。種をひっつけて運ばせる。踏まれたち、折れんように丈夫な筋を通しちょく。草花らはツラい目に遭うたんびに、どんどん どんどん変化した知恵者らじゃ。その知恵者らは、ひとりとして同じ者はおらん。それぞれに強さがある。そこに意味がある・・・皆が違うところに。ほんじゃき、わしらも わしらなりに懸命に生きたらええ」
NHK/2023年5月1日放送
【脚本】長田育恵
らんまん・第20話 [らんまん]
「植物が好きで、緑 豊かな地に暮らし、植物の絵が よう描ける。その上、英語で読み書きができ、日本の植物を世界に知らせることもできる――。そういう人間が いま ここに居合わせちゅう。(わしが)いま やらんと いかんがです」
NHK/2023年4月28日放送
【脚本】長田育恵
らんまん・第19話 [らんまん]
「虐げられたことがあるモンは、恨みを忘れん。なんの痛みを知らんモンだけが呑気でおれる。呑気というがは、それだけで傲慢じゃ」
「誰かを手に入れたい、そばに おりたい。そう思うことは、生きちょったら当たり前のことでしょ。綾様の欲は、前に向かうための力じゃ」
「いま目に映っちゅうもんは、(自由の)ほんの上澄み。ただ気の合うモン同士で騒いじゅうだけじゃ。この国中の隅々まで行き届き、会うたことのないひとまでも救う・・・もっと強靭で、揺るぎないもん(が本当の自由じゃ)。たとえば、志と才があるモンやったら、氏素性にかかわらんと、家柄や国も飛び越えて、望むモンになれる。この日本国を丸ごと統べるモンにもなれるとしたら?(中略) おとぎ話でも夢物語でもない。これは 皆で手を伸ばしたら届く話じゃ」
NHK/2023年4月27日放送
【脚本】長田育恵