心の傷を癒すということ・第3話 [心の傷を癒すということ]
「あなたの中には、いくつかの “部分” があるんやと思う。多重人格・・・。例えば、あまりにツラい目に遭うたとき、子供は『これは自分の身に起きたことやない』と感じる。『いま苦しんでるのは別の子や』と。その子の中に、こう、痛い思いを引き受けてくれる人格が生まれるんやね。そうやって苦痛をやり過ごした子は、そのあとも複数の人格を生み出しながら、生きて行くことになってしまうんや」
「(弱いから多重人格になったんと)違うよ。とても耐えられへんような苦しさと悲しさの中で、それでも生き延びる方法を見つけようとしたんや。生きる力が強いんや」
「人間は傷つきやすい。今後、日本の社会は、この人間の傷つきやすさを どう受け入れていくのだろうか。傷ついたひとが心を癒すことのできる社会を選ぶのか、それとも 傷ついたひとを切り捨てていく厳しい社会を選ぶのか」
「クラシックピアノって、こう・・・楽譜に こう書かれた通りに弾かなアカンねんけど、これね、ジャズ(は)ちゃうねん。自分だけの思いつき 試してもええし、ひとと違う演奏したって、怒られるどころか自分の個性として認めてもらえんねん」
「突然、襲いかかった災害に、きみが手持ちの武器だけでどう立ち向かったのか、それが この本に書いてある。本の中に、ひとの苦しみに精一杯 耳を傾けている きみがいる。ええ本や」
「一生懸命 働いて、そやけど うまく いかへんかった。それをぼくは情けないとは思えへんよ」
NHK/2020年2月1日放送
【脚本】桑原亮子/【原案】安克昌
心の傷を癒すということ・第2話 [心の傷を癒すということ]
「(神戸のひとたちはバチが当たったって)それ言うたひと、きっと怖いんやと思うわ。神戸のひとらは、悪いことしたから震災に遭うた。わたしらは なにもしてへんから大丈夫。そう思わな、怖あて しょうがないやろな」
「弱いって、ええことやで。弱いから、ほかのひとの弱いとこがわかって、助けられる。おっちゃんも弱いとこあるけど、全然、恥ずかしいと思うてへん」
NHK/2020年1月25日放送
【脚本】桑原亮子/【原案】安克昌