顔だけ先生・第11話（最終回） [顔だけ先生]
「先生たちは いつも 言いますよね。まずは、自分で考えなさいって。あれって、わからないから、質問を突き返してるだけですよね。（中略） わたしたちが先生に対して、どうすればいいのか聞くときは、質問じゃなくて、助けを求めてるんです。それなのに、助けを求めた手を振り払われたら、もう二度と頼らないし、信用できないってなってしまう」
「先生のおかげで、前に進むことができた生徒がいる一方で、置き去りにされた生徒がいることに気づいてますか」
「きっと、ぼくがなにをしても面白いと思えないのは、責任のないところで遊んでいるからだと思うんです。なんにもないところで遊んでいたから、楽しいものも見つけられないし、つまんないままだと・・・」
「『お客さまは神様です』って言葉の意味、わかって言ってますか？ あれは、神様の前で祈るときのように、真っさらな心でなければ、完璧な芸を披露することはできないっていう意味で・・・（中略） お客さまは神様だから、徹底的に こびへつらって、なにをされようが我慢して、つくしなさいっていう意味じゃないですよ」
「常識的に考えて、こんなとこにサンタ いるわけないでしょ」
「でも、常識を飛び越えた存在がサンタですから」
「イヤなこととか、苦しいことがあっても、それでも やめられないものこそが、好きなことだと思うんですよ」
「（鬼ごっこを）難しく考える必要はないけど、難しく考えるとするならば、この先、あなたたちが生きていく上で、追いかけることも、追いかけても捕まえられないことも、逃げることも、逃げ切れないことも、あると思うんです。そんな希望とか、絶望とかで、ぐちゃぐちゃに揺さぶられる中でも、心にアンカーを打ち込んでおけば、ブレない自分でいられると思うんです。ぼくにとっては、それが “好き” をベースに生きるってことで、みなさんにも それを おすすめしたいんですけど、みなさんは なにが好きなのか よくわからないので、（鬼ごっこという、子供のころ）確実に好きだったものを なぞることで、みなさんのためになったら いいなっていう、ぼくなりに考え抜いた上での課外授業です」
「いい先生って なんですか。答えが四方八方に散らばってて、これが正解だと思うものをつかんでも、違う正解があっちこっちにあって、あれもこれも やっていくうちに、抱えきれないくらいのものになって・・・。そりゃあ、身動き とれなくなりますよ。いい先生になろうとするんじゃなくて、亀高先生が強い思いをつかんで、離さず進んでいけば、勝手に『いい先生』って呼ばれるように なるんじゃないですか」
フジテレビ／2021年12月18日放送
【脚本】櫻井智也
※ １段目は２名による連続した台詞（割り台詞）をつなげたものです
顔だけ先生・第10話 [顔だけ先生]
「応援できるひとがいるって、それだけで人生が楽しくなるよね。応援できるひとがいると、そのひとの成長や成功を、こっちも追体験することができるし、幸せになる。もっと応援しようって気持ちになって、このひとのために、自分も もっと頑張らなきゃって思うこともできる。そうすると、向こうも応援してくれるの」
「あなたは心から ひとを応援できるひと。それに、そんな あなたを応援してるひとに、笑顔を与えられるひとなんじゃないかな」
フジテレビ／2021年12月11日深夜放送
【脚本】井上テテ
顔だけ先生・第９話 [顔だけ先生]
「真面目でなにが悪いの。真面目なひとが人気者に勝てないなんて、誰が決めたの」
「声を上げない ひとたちの面倒は見ないなら、多数派のひとたちだって、大半は見捨てられることになるよ。それに、そもそも『面倒を見る』って考え方はどうなんだろう。多数派は数が多い。少数派は少ない。それだけだよ。上とか、下とか、ないんじゃないかな」
「そもそも、ネジがみんな（飛行機の部品になって）空を飛びたがってるわけじゃないんですよ。なにかの一部にならないと存在意義がないとは、ぼくは思いません。ネジ穴に はまらなくたって、それ自体に充分 価値があるんです。まわりと形が違うネジだって、存在していいんです。返してください。（ぼくはその不良品のネジ、）形が美しくて気に入ってるんです」
フジテレビ／2021年12月4日放送
【脚本】秋山竜平
顔だけ先生・第８話 [顔だけ先生]
「（あなた、病気でしょ？）遠藤先生に恋わずらいしてるじゃない。お医者さんでも治せない病気に苦しんでることは事実だし、その証拠として、日に日に奇麗になっちゃうっていう病気の症状だって、しっかり出ちゃってるわけだから」
「自分を認めてもらいたければ、他人を否定するのではなく、愛することが重要だと思うんですよね」
「審査員の評価と、世間の評価はイコールじゃないよ。閉鎖された場所にいる ひと握りの人間に否定されたからって、悲観することない」
「だけど、そこに届かなきゃ、世間には届かないだろ。誰にも届かない歌なんて、砂漠に吹く風と一緒じゃねえかよ」
「（ぼくが勝手に大久保くんの作品を応募したから、優秀賞は無効って）なんで ですか？ お姉さんが勝手に弟の履歴書を芸能事務所に送るケースだってあるでしょう？ その結果、大活躍してる芸能人だって いるじゃないですか。あなたは、じゃあ、その芸能人に どれだけの才能があっても、自分で応募してないから認めないっていうんですか」
「（これは）本来は俳句として書かれたものじゃないんですよ。だけど、そこに俳句としての素晴らしさがあれば、評価してあげるのが当然だと思うんです。意図したものじゃないから認めないなんて、おかしいですよ。それこそね、あなた、大久保くんの中にある可能性を否定する行為ですよ。自分の中にある可能性なんて、自分が意図してないところで広がってくものじゃないですか。誰かに拾われて、すくい上げられて、勝手に浮かび上がってくる可能性だってあるわけでしょ」
「あのころ やりたかったことではないけど、生きていく中で夢が形を変えてさ・・・。いまでは、やりたいことを やってるって言えるかな」
フジテレビ／2021年11月27日放送
【脚本】櫻井智也
顔だけ先生・第７話 [顔だけ先生]
「なんで（淫行教師のレッテルを貼られたら、人生 終わりって）言いきれるんですか？ だって、それをルールだと思って、そのルールの中で楽しいことを探すって、ぼくだったら いくらでも できるんですけど。ボクシングだって、足が使えたら もうちょっとラクです。でも、手しか使えないから楽しい。で、足 使えるのがキックボクシングで、キックになったら、それは それで楽しいし。だから、佐川さんが きっかけで、ぼくの人生のルールが変わるなら、ぼくは その中で楽しみまくります。ぼくが楽しめないとか、勝手に言い切らないでもらえません？ しかも、佐川さんがずっと ついてくる人生でしょ。なんか、それ聞いただけで、ちょっと すでに楽しいんですけどね、ぼくは」
フジテレビ／2021年11月20日放送
【脚本】保木本真也
注）実際の台詞は 「だって、ボクシングだって、足が使えたら もうちょっとラクです」 でしたが、こちらの判断で 「だって」 の連続を削除しました。
顔だけ先生・第６話 [顔だけ先生]
「恋愛なんて、自制心や判断力を超えたところから降ってくるものでしょう。突然、にわか雨に襲われるようなもので、ずぶ濡れになったことを怒られても、仕方がないと思うんですよね」
「加藤先生を初めて見た瞬間、胸のあたりがソワソワソワってして、頭の後ろがバチバチバチバチってして、逃げ出したいような、しがみつきたいような・・・。（中略） クレオパトラに会ったひとって、あのときの ぼくみたいになるんじゃないかなって思います。理屈じゃないとこで好きになったから、理屈で（別れろとか）どうこう言われても、ぼくには響かないってことが言いたいだけです」
「あなたたちは、誰が誰を好きだという話が好きなんですね。みんな、笑顔になってますよ。つまりは、そういうことですもんね。ひとが ひとを好きになるということが、あなたたちを無条件で笑顔にさせる出来事なわけですよ。それは つまり、ひとを好きになるということが、うれしかったり、楽しかったりするっていうことを、みんなが知ってるからでしょう。だから、ぼくは好き同士の二人には、笑っていて欲しいなと思っちゃいますけどね」
「妊娠ってさ、男からしてみたら、ファンタジーかもしれないけど、女からしてみたら、普通にノンフィクションだから」
「世界中がふたりの敵になって、みんなから非難されても、おまえだけは加藤先生を守り抜いて、幸せにすることができるって信じてるよ」
「あのさあ、世界中から非難されてる時点で、幸せにはなれないんだよ。女の立場から言えばさ、世界中の敵から守ってもらう前に、まずは世界中を敵にしないで欲しいんだけど」
「子供が大人相手に どうやって責任 取るつもりなの？ それがね もう子供の浅はかな考えなんだよ。いままで、自分だけの力で生きてきたの？ 違うでしょ。生きてきたんじゃない、生かされてきたの。（中略） いままで、生きるために必死になったこともない人間が、どうして責任なんて言葉、口にできるの？ 自分だけの力で なんか できると思えるの？ 誰にも頼らず、学校 辞めて 働く？ それが、どんな大変なことか わかるの？ やりたいことしか やってこなかった人間が、やりたくないことしかない世界で、どうやって生きてくの？」
フジテレビ／2021年11月13日放送
【脚本】櫻井智也
顔だけ先生・第５話 [顔だけ先生]
「普通に生きてるだけで、死にたいんです・・・べつに なにも不幸なことなんてなくても。ないのに、死にたいんです。友達と話してて、笑うテンポがちょっとズレたときとか、この子の こういうところ、ちょっと嫌いだなって思っちゃったときとか、死にたくなるんです。理由なんてないんです。どうしたらいいですか」
「（生徒を）見張るって・・・そんな。犯罪者じゃないんですから」
「見守りましょう。これでいいですか」
「雨模様っていうのは、本来、雨が振り出しそうな様子のことです。まだ降ってないときに使うんです。でも、半数近くのひとが、藤嶋先生みたいに間違って（雨が降っているときに）使ってます。言葉の意味とか、解釈って、どんどん変わっていくじゃないですか。だから、彼女にとっての『死にたい』は、わたしたちが思ってる意味と違うんじゃないかなって・・・」
「（死にたいと）思わないのはムリじゃないですか？ だって、どんなことも、思おうとして、思ってるわけじゃないですよね。自然と思っちゃうものじゃないですか。いんですよ、『死にたい』って言うのも、書くのも、糸井さんの自由です。死にたいと思いながら、生きる――。それでいいんじゃないでしょうか」
「（彼のことが）許せないって思いながら、それでも好きだから一緒にいる――。いつか許すために、いまは許さない。それで いいんだよ」
フジテレビ／2021年11月6日放送
【脚本】秋山竜平
顔だけ先生・第４話 [顔だけ先生]
「教師とゴキブリの共通点って、なにか知ってる？ （中略） 新聞で叩かれる。一般人なのに、教師っていうだけで、なにか一度でも問題を起こしたら、すぐにバシン、バシン バシン」
「『公』に『耳』を貸す『心』と書いて、聡明の『聡』。しかし、『公』をなくし、己の『心』だけに『耳』を傾けるのが『恥』」
フジテレビ／2021年10月30日放送
【脚本】保木本真也
顔だけ先生・第３話 [顔だけ先生]
「食事をただの生命維持活動のための道具にしちゃったらね、体は維持できても、心がやつれてくよ。（中略） なんとかしないとね、そのうちに恋をするのも面倒くさくなるよ。そして、人生の楽しみを次々に放棄していって、いつしか何事にも心が動かないロボットのようになっちゃうよ」
「ユーチューバーも大変でしょう。毎日、動画をあげて、再生回数と にらめっこ。自分で面白いと思ったものが、世間の面白いものと合致するわけではなく、いつしか自分のやりたいことも見えなくなって、世間のニーズという、得体の知れないものの奴隷になっていく。あれもやった、これもやった・・・。マンネリとの戦争で傷ついた自分を いやしてあげる時間もない。いやはや、お疲れさまです」
「学生のころ、もてはやされたアイテムが、大人になると効力を失うなんてことは、まあ、あることですから。たとえば、足が速い なんていうのは、学生時代にのみ輝きを放つ要素ですし、もっと言えば、ルックスだって それほど重要な要素には なり得ません。悲しいかな、お金があれば なんとか なるんですから」
「まだ わからないかもしれませんが、たとえば このフルーツ。みなさんにとって、これは冷蔵庫を開ければ、当たり前に入っているものだと思ってるかもしれませんが・・・独り暮らしの人間がスーパーに行って、まず素通りせざるを得ないもの、それがフルーツなんです。だって、フルーツって高いから。贅沢品だから。それを踏まえた上で、現時点で黙ってテーブルにつけば ご飯が出てくる あなたたちと、自分でご飯を作らなければいけない市川くんが わかり合えないのは、仕方のないことなんじゃないかと思いますけどね」
「振り返れば、かわいい女子がいる。手を伸ばせば、友達になれるかもしれないひとに さわれる。教室のあちこちから面白い話が沸き立っていて、みんなで矛先を向けるべき憎たらしい大人がいる。こうなるまで気づかなかったけど、こんな恵まれた環境、いましかないですよね。（中略） みんなは意味のない場所にいられる幸福に感謝すべきだと思う。だって、生きようと思わなくても生きられる――。そんなのは学生時代だけじゃない？ 退屈な授業、理不尽な押さえつけ、10年後には忘れているであろう友達との会話、それに愚痴を言っていればいいだけの時間なんて、最高に幸せだよ。ぼくは一足お先に ここからサヨナラしますけど、みんなには ずっと学生でいて欲しいよ」
「生きていくということは、惰性に身を任せて、労働するというレールに乗らなければ できないことですよね。ぼくには それがないから、だらだらと同じ場所を行ったり来たりすることもできない。目的地がないから、ここにいるしかない」
フジテレビ／2021年10月23日放送
【脚本】櫻井智也
顔だけ先生・第２話 [顔だけ先生]
「むかしから言われてきたろ・・・ダサいとか、ブサイクとか、気持ち悪いとか、ずっと。言われても、傷ついてないですってフリしながら、でもホントはキツくて、言われないように できるだけ気配 消して・・・。それこそ、空気みたいにしてきたろ。出る杭は打たれるって言うけどさ、醜い杭なら、なおさら打たれるんだよ。学校の中の空気に戻ろう。これ以上 目立って、また なんか言われるの、もうキツいわ」
「野菜って、同じ条件で育てても、いびつな形なのが、３割以上 生まれるんです。人間で言うと、それが ぼくらです」
「正論は、ときに暴論」 →類似（１段目）
「（男前コンテストは差別を助長するから中止にするって）そんなの、ブサイクに勝手に同情して、優越感に浸ってるだけだ。『かわいそうだ』『みじめだ』って言って、正義を振りかざしながらレッテルを貼る連中のほうが、よっぽど差別主義だ。勝手すぎませんか。先生は、大人は、自分たちは見た目で判断されない社会なんて作れないのに、子供にはそれを押しつけてくる」
「教師って、都合いいよね。努力なんて、しないより したほうがいい、くらいにしか思ってないのに、生徒には『必ず報われる』って言ってんだから。あたしの理想の教師はね、生徒ひとり一人の悩みや、夢に、ちゃんと寄り添って、一緒に考えられるひと。でも、それはただの理想で、努力しても、努力しても、全然 生徒ファーストにできない場所が学校なんだって、自分がいちばんわかってて。学年主任になってからは、とくに できてない。努力しても報われないって、自分がいちばん知ってるのに、それを あたしの人生が体現してんのに、どうして平気な顔して嘘 教えてんだろ、あたし」
「努力なんて、報われないのがデフォルトですよ。結果とか、期待通りとか、報われなかったとか、そういうのでやってたら、疲れません？ いまその瞬間、自分がやってることが、自分で楽しいかどうかでしょ。（中略） で、楽しむためには、全力で目標に向かっていかないと。じゃなきゃ、楽しくないでしょ。自分に嘘ついてたら、その嘘にいちばん最初に気づくのは、自分なんですから」
フジテレビ／2021年10月16日放送
【脚本】水野宗徳、保木本真也
顔だけ先生・第１話 [顔だけ先生]
「非常勤講師じゃなくて、非常識講師かよ」
「戦と言えば関ヶ原の合戦－－。両軍あわせて20万人が参加して、たった一日で終わるなんて、こんな戦は世界でも例がありません。その理由のひとつに、周囲の空気にあらがえず、なんとなく参加したひとたちが多くいたからだと、ぼくは思っています。とくに『西軍のほうが安心、安全でござるかのう』くらいのスタンスで豊臣側についた武士たちは、戦況が不利になっても、戦う理由が明確になかったので、『いかが いたす？』『ひとまず、まわりに あわせておくのが よかろう』と、なんとなく参加して、あっと言う間に敗走しちゃうんですよ。その後、徳川に歯向かったというレッテルを貼られて、『む、無念。ぐえー』」
「わたし、結婚式の前には、髪 伸ばすって決めてます。だって、結婚式はロングヘアをアップにするものでしょ」
「（全員参加の補修授業なんかしたら）逆に進学率 落ちますよ。うちの場合、ほとんどの生徒は１年から予備校に通っています。授業と予備校で勉強のペースができあがっているんです。ここに土曜の補修が入ったら、それを乱すことになる。（中略） どうせ、まわりの進学校がやりはじめたから、うちもって感じなんでしょうけど、正直、生徒のためにもならにことを、ぼくら教師が必死にやるって、これ、どんなクソゲーなんですか」
「先生、子育てはミスが許されないんです。ひとつ道を誤れば、いまは どれだけでも落ちて行く世の中です。落ちたら二度と はい上がれない――。安定した道から我が子を外させない・・・その責任と情熱が、あなたがた（教師）にはないでしょう」
フジテレビ／2021年10月9日放送
【脚本】水野宗徳
